米国債って何?アメリカにお金を貸す、メリットとデメリット

米国債って何?アメリカにお金を貸す、メリットとデメリット

米国国債(10年)乗り回りが3%を上回ってきました。株への投資と違って元本割れがなく、定期預金より利回りがいい米国国債。投資ですのでリスクもありますが、私の投資方針と合致したので、少しずつ買い増すことにしました。

米国国債とは

アメリカ国旗と女性

米国国債とは、アメリカ政府が発行する債券のことです。世界最大の発行高と売上高で、高い信用力を誇ります。

信用力は、発行体格付によって図ることができます。

格付け会社には、S&P(スタンダード&プアーズ)とMoody’sがあります。S&Pの格付けをみてみましょう。

AAA債務を履行する能力は極めて高い。
AA+
AA
AA-
債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい。
A+
A
A-
債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい。
BBB+
BBB
BBB-
債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い。
BB+
BB
BB-
より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては、債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。
B+
B
B-
現時点では債務を履行する能力を有しているが「BB」に格付けされた発行体よりも脆弱である。
CCC+
CCC
CCC-
債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は良好な事業環境、財務状況及び経済状況に依存している。
CC債務者は現時点で非常に脆弱である。
R財務上の問題が理由で規制当局の監督下にある債務者に付与される。
SD
D
債務の少なくとも一部が予定期日に履行されなかったことを示す。
スタンダード&プアーズ社の格付け

上記のように格付けによってデフォルトリスクがわかります。BBBまでが投資的確と言われています。

長くなりましたが、ではこの格付けて米国国債は、どのランクに位置付けられているのでしょうか。現状では米国国債はAA+です。2011年まではAAAでしたが、ランクが引き下げられました。ただ、AA+でも債務を履行する能力は非常に高く、高い信用力がわかります。

ちなみに日本国債はA+です。米国よりもランクが下ですね。利回りも低いし…。うむ。

米国国債の種類:期間

米国国債は、償還(定期預金で言う満期)までの期間によって、3種類に分けられます。ちなみにトレジャリーとは、米国財務省のことです。

  1. Treasury Bill(トレジャリー・ビル):期間が1年未満の割引債
  2. Treasury Note(トレジャリー・ノート):期間が1年超10年以下の利付債
  3. Treasury Bond(トレジャリー・ボンド):期間が10年を超える利付債

通常は、償還までの期間が長いほど、金利が高くなります。

米国国債の種類:利払いルール

米国国債を購入する上で、利払いのルールも把握しておく必要があります。

利付債

米国国債の利付債は、償還時まで決まった利率で利息が支払われる固定利付債が採用されています。つまり、購入した時に決まっていた金利が償還までずっと継続されます。毎年利払いされるので、配当金収入のように決まった収入が見込めます。

こちらはシンプルでわかりやすい利払いルールです。

ストリップス債

ちょっとわかりにくいのが、ストリップス債です。ゼロクーポンの割引債とも呼ばれます。こちらは、年に2回の利払いがない代わりに、額面よりも安い値段で購入できる債券です。償還時に400ドルもらいたい場合、購入時はそれよりも安い金額で売り出されています。その代わり、毎年の利払いがなく、償還までお金を生み出さないのが特徴です。

ちょっとわかりにくいですが、買うとき割引する代わりに、毎年の金利はもらえないよっていう債券。

米国国債の種類:新発債と既発債

米国国債は、国が発行するタイミング以外に、他の投資家が手放したタイミングで購入することもできます。

新発債

これから発債される債券です。発売前のみ購入可能。ただ、発売期間が限定されるので、いつでも購入できるわけではありません。

既発債

既に発行された債券です。満期前の債券は市場で取引されるため、取得価格によって利回りは変動します。

米国国債を買う前に知っておきたいこと

アメリカ国旗と女性

米国国債を購入する上でメリットとデメリットを把握しておきましょう。

米国国債のメリット

米国国債を持つメリットはたくさんあります。

金利が高い

米国国債10年金利チャート

米国債のここ5年間の金利です。2020年には0.5%近辺まで下がっていて、最近は魅力的に感じなかったのですが、コロナ後のインフレ加速によって、金利上昇。現在は米国国債10年で利回り3%を超えてきています。

定期預金の金利が良くて0.1%とすると、30倍です。100万円を1年間国債と定期預金で運用した場合…

利回り金利
米国国債3%30,000円
定期預金0.1%1,000円

米国国債だと3万円、定期預金だと1000円の金利がもらえます(税引き前)。

だったら、株の配当で利回り3%でもいいんじゃないかと思う投資家は多いと思います。でも債券の方がもっといいんです。なぜなら…次の段落で。

元本補償

国債は元本保証されています。株のように株価が下がったから元本割れしたー!っていうリスクがないんですね。

すごくないですか!?利回り補償で元本も保証。その分金利も低いかと思いきや、結構高い水準。株買うより、リスク抑えられて、毎年の利回りも同水準。最高。

デフォルトリスクが低い

リスクはゼロじゃないですが、米国国債は、アメリカという国が存在する限り、元本補償で利息がもらえます。ただし、国がなくなれば、お金は戻ってきません。

ただ、世界の基軸通貨である米国ドルがなくなって国家が解体されるとき、ほかに信じられる投資先はあるでしょうか?限りなく少ないのではないでしょうか。

手数料がかからない

投資信託と違って国債は持ち続けても特に手数料がかかりません。運用コストがない分、お金が増えるスピードが加速するんです。

このメリットのおかげ(?)で、証券会社は米国国債を販売しても儲けが出ないので、特にプロモーションされず、知っている人が少ないという一面もあるようです。

米国国債のデメリット

米国国債を持つデメリットも知っておく必要があります。

デフォルトのリスク

上記で触れたように、デフォルトのリスクはゼロではありません。

実は、2011年に米国はデフォルトの瀬戸際まで追い込まれました。最終的にはデフォルトは回避されたが、S&Pの格付けがAAAからAA+に格下げされたという経緯があります。

リスクゼロの投資はあり得ませんが、アメリカという国が今後どうなっていくのかをしっかり見極めた上で手を出すべき商品だと思います。

金利変動リスク

米国国債は、固定金利制です。

米国10年国債を購入したときを例に考えてみます。購入時、金利が2%でした。1年後、同じ条件で金利が5%になりました。でも購入した時の金利は2%なので、あなたが購入した米国国債は、2年目以降もずっと金利2%で、実質3%の金利を損してしまうことになります。

金利が変動することも考えて、どの水準で購入するのか。また、分散して購入することで、リスクを下げる必要があります。

為替リスク

日本とドルの為替リスクがあります。国債への投資は、期間が長いため、為替は大きなリスクです。ドルの価値が急落した場合、元本保証されているのはドル。日本円に換算すると、自分の資産は目減りしてしまいます。

為替のリスクを考えると、「近々で必要なお金」を国債に回すのは得策とはいえません。これから数十年後に増えたらいいなというお金を定期預金がわりにおいて忘れるくらいの気持ちがいいかもしれません。

二重課税

米国の株や債券に投資すると、米国でも課税され、日本でも課税され、渡損益、償還差損益に対し、20.315%が徴収されます。

それらは確定申告することで還付されますので、しっかり確定申告しましょう。

資金拘束期間が長い

国債は、資金拘束期間が長いことはデメリットといえます。

金利が高い10年国債だと、10年後を見通して、債券を買う必要があるのです。見通せませんよね…。ただし、途中で売却することもできるので、年金などのように「絶対に現金化できない財産」でないことも理解しておくと良いでしょう。

米国債、買ってみた

私が2022年5月にポチった米国国債です。100ドルから購入可能です。

  • トレジャリーボンド
  • 利付債
  • 既発債(残存4.2年)

を400ドル分、購入しました。利回りは2.89%で、償還日が2026年7月なので、4.2年後です。国債は、購入した時点で利益が確定していると考えると、2.89%乗り回りが確定した投資商品、結構良くないですか?

ただし今後も金利が上がる可能性が高いので、今回は400ドルだけ。少しずつ買い増すことにしました。

まとめ:米国国債もひとつの選択肢

眼鏡の女性

配当金生活を目指して、コツコツ投資してきましたが、ここまで米国国債の金利が高くなってきたら、国債への投資もひとつの選択肢になってきます。

また、もう少しリスクを取ってもお金を増やしたいということであれば米国以外の国債も選択肢として上がってくるかも。その分リスクは上がるので、リスクとリターンのバランスを見て、投資計画を練る必要があります。

全く別の視点ですが、日本には頑張って国力を取り戻してほしいという気持ちがあります。だからこそ日本株に投資しています。でも日本国債には投資する気になれず…。日本の老人へ投資する気はありません。もっと未来を良くしようという政治だったら、日本国債に投資するかもしれません。日本の未来へ・日本の子供たちへ向かった施策が動き出したら日本という国にも投資したいなーというのが本音です。

ということで、私はしばらく金利が上昇している間は、米国国債をコツコツ買い増す予定です。

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