2020年5月18日ににほんの国内総生産(GDP)が発表されました。結果は予想よりも良い状況だったものの3.4%縮小。前期(昨年10~12月期)は年率7.3%減だったため、2四半期連続でマイナス成長。リセッションに入ったとみなされました。
景気後退(リセッション)とは
景気後退 (リセッション)は、”景気の山”を下り始めたと言う意味。その判定は、さまざまな考え方がありますが、欧米では
GDP (国内総生産) が2四半期連続でマイナス成長に陥った
と考えるのが一般的です。この定義によると、日本は
- 2019年10~12月期:年率7.3%減
- 2020年1〜3月期:3.4%減
と、2期連続でGDPが減少。景気後退(リセッション)入りしたと判断されました。
日本経済研究センターのまとめでは、「3月の景気後退確率は99.9%に上昇」とあり、コロナの影響によって、4月以降は経済活動の停滞が益々深刻な事態になると推測されています。
ちなみに日本では「ディフュージョン・インデックス (DI) 」と呼ばれる景気動向指数で判断されています。景気拡大局面では50%を上回り、景気後退局面では50%を下回るという傾向があり、欧米とは違った基準で景気後退入りを定義しています。
一概に、景気のピークやボトムを見極めるのは難しいですが(どこが天井だったのかは後から振り返ってみないとわからない)、その瞬間には判断が難しいですが、少なくても欧米の基準では、日本は”景気後退”に突入したと判断できるでしょう。
経済活動の縮小が大きな原因
一番の要因は、コロナによる経済活動の停滞。日本は、貿易依存度の高い経済構造だからこそ、起業活動に大きな影響を与えています。
消費税増税も一因
コロナの影響以外ににも、日本特有の景気後退の一因として、2019年10年に8%から10%に引き上げられた消費税も影響しています。
オリンピックで増税の景気悪化を吹き飛ばそうという勢いだったのに、日本…ツライ!!!
景気後退は、日本だけじゃない?
アジア開発銀行(ADB)の予測では、コロナウイルスが世界経済に与える栄養は、5.8兆~8.8兆ドル(約620兆~940兆円)。日本と同じく、コロナによる世界経済の停滞は避けられそうにありません。
アメリカ
第1四半期のGDPが年率4.8%縮小しました。大恐慌以来の大幅なマイナスで、第2四半期のさらなる悪化も懸念されています。4-6月期の失業率は20%台前半まで跳ね上がる見込ですが、実態では40%と言う予想も。大半のアナリストは、アメリカも景気後退の局面に入ると予想しています。発表は7月30日です。
中国
リーマンショックからの経済復活に一役買っていた中国も今回は、パワーがありません。第1四半期にGDPは6.8%減少。統計を取り始めて以来初のマイナス成長を記録しました。コロナショック前にすでに高い水準にあった民間債務が、景気悪化で一段と積み上がっていると考えられ、不良債権の増加や金融機関の信用収縮リスクが高まっています。こちらも、大半のアナリストが数カ月以内に景気後退に突入すると予想しています。
ユーロ圏
ユーロ圏のGDPはマイナス3.8%でした。 南欧諸国を中心に4〜6月期にかけて大幅なマイナス成長が予想ています。すでにドイツは2四半期連続でマイナス成長を発表、日本と同じく景気後退の局面に突入しています。
景気後退の局面で投資はどうなる?
三菱総合研究所は、新型コロナウイルスによる経済的影響について、3つのシナリオを発表しました。
5月18日に、米バイオ医薬ベンチャーのモデルナが「開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期の治験の結果が有望だった」と発表。5月に入ってから経済活動を再開した国や地域が増えたましたが、感染終息時期が見通せないなかで、経済の正常化が順調にいくか、不透明です。
三菱総合研究所でや、今後の感染拡大ペースや終息時期も不透明なため、世界経済・日本経済の見通しを複数のシナリオで提示しています。
シナリオ①:強力な経済活動の抑制を5月末まで実施、再流行は回避。6月以降に抑制度を緩めるも、最低限の社会的距離の確保など一定の経済活動抑制は1年程度継続
三菱総合研究所
— 20年の世界経済成長率は前年比▲3.0%、21年は同+5.7%
— 20年の各国成長率は、米国▲4.7%、欧州▲6.0%、中国+0.6%、日本▲4.9%
— 経済損失は世界全体で760兆円(世界GDP比8%)
シナリオ②:経済活動再開と再流行を繰り返す形で、断続的な経済活動抑制を12月末まで実施。21年入り後に抑制度を緩めるも1年程度は一定の経済活動抑制を継続
— 20年の世界経済成長率は前年比▲4.9%、21年は同+5.8%
— 20年の各国成長率は、米国▲6.1%、欧州▲8.9%、中国▲3.2%、日本▲6.5%
— 経済損失は世界全体で1,120兆円(世界GDP比12%)
シナリオ③:年内の感染抑止に至らず。21年は経済活動の抑制度を徐々に緩めつつも、断続的な抑制を22年にかけて継続
— 20年の世界経済成長率は前年比▲4.8%、21年は同+3.7%
— 経済損失は世界全体で1,310兆円(世界GDP比13%)
上記以外にも、各国の金融緩和による金融危機への発展もひとつのシナリオ。観戦が長期化すればするほど、このリスクは高まってきます。
夏〜年末までに二番底が来る!?
欧米では、多くの投資家が今年後半に、二番底が訪れると警戒しています。各国のロックダウンや経済停滞、失業率の悪化によって、実体経済は最悪の状態。それらが表面化して、3月の株価大暴落よりさらに深い景気の底がやってくるというのです。
一方で、それはすでに折込済みと考える投資家もいます。また、先に述べたワクチンの早期実用化によって、三菱総合研究所が考えるシナリオ①に進み、驚異的なV字回復を遂げて、二番底はやってこないという見方も。
未来のことはわからない…けど…
どれもまだ不確定ですが、今現在の実体経済が最悪なことは間違いありません。今月に入ってから株価は堅調ですが、私は一部の米国株を利確して今のところ静観しています。
未来のことはわからないけれど、私にはこれからの経済を楽観できません。4-6月期は、今回より更に悪くなるでしょう。日本は本格的にリセッションと海外からは判断されます。
よくて三菱総合研究所のシナリオ②。とすると、今年いっぱいは今の状態が続くか、実体経済の露呈によってさらに悪くなる可能性もあるので、今はまだ投資タイミングじゃないかなと考えています。
夏のボーナスはしばらく預金口座で眠ることになりそうです。
まとめ:景気後退入りを受け入れて慎重な投資を
アベノミクスで浮かれていた2019年まで。そして、景気後退に入ってしまった2020年から。これからの株式市場や為替がどうなるか、誰にもわかりませんが、しっかりと自分の頭で考えて、行動したいと思います!