「Sell in May」は本当か。語源と株価の直近10年の傾向

「Sell in May」は本当か。語源と株価の直近10年の傾向

5月に入ってよく目にするようになった「Sale in May(セルインメイ)」という言葉。そのまま受け取ると「5月に売れ」。つまり5月は、株価が値上がりする傾向が高いから利確するのがベストという意味かなと思ったのですが、どうも違うようです。ちょっと気になるセルインメイについて調べてみました。

“Sell in May(セルインメイ)”とは?

ウォール街

Sell in May(セルインメイ)は、「5月に株を売れ」という意味だと思っている人も多いのですが、続きがあり、本当の意味は違ってくることがわかります。

全文は、こちら。

Sell in May and go away, don’t come back until St Leger day.
(5月に売れ。その後は出かけて、セントレジャーデーまで戻って来るな)

出典不明

セルインメイは、有名なフレーズですが、全文を読むと「?(はてな)」となります。セントレジャーデーっていつ、何の日…?

発祥はイギリス

競馬

もともとこのフレーズは、イギリス人の慣用句でした。貴族、商人、銀行家などのイギリス投資家たちが、夏にものすごい暑さになるロンドンを離れ、避暑地で過ごす夏休みは市場に大きな動きがないから。

St. Leger’s Day(セントレジャーディ)は、日本の菊花賞のモデルにもなった伝統的な競馬の最終戦で、9月の中旬の土曜日。このレースが終わらない限り、投資家たちは動かないから、5月には売ってしまおうという意味合いでした。

アメリカ、ウォール街へ

銀行と空と飛行機

「セルインメイ」の言葉は、海を渡ってアメリカ・ウォール街でもよく使われるようになります。NYダウは、5月近辺を高値にしてその後夏から秋口にかけて株価が停滞・下落するケースがみられるためです。

5月に売るべき理由は?

海辺に寝転がる女性たち

セルインメイの言葉の真意は、「5月に売ったあと株価は下がるから、市場からしばらく離れて、9月ごろに株価が戻ったらその時が株を買い直すタイミングだよ」ということ。ではなぜそうなると思われているのでしょうか。

6月から9月まで夏休みで相場がガラガラ

欧米では6月から9月にかけて、サマーバケーションで長期休暇を取ります。機関投資家も例外でないため、相場が閑散とし、株価が軟調になるため、5月に売っておけという、語源の通りの意味です。

年末の信用取引の売り決済が集中する

年末は信用売りが増え、株価は上がりやすくなります。この信用取引には、購入から半年以内に反対売買をしなければならないというルールがあるので、年末に信用売りをした人は、5月から6月にかけて信用買いをしなければならないのです。そのため、株価が上がりやすくなるという説です。

アメリカの税金還付が5月だから

日本の年末調整のように、アメリカの税金還付の時期は5月です。人々は、ちょっと余剰資金を手に入れて、これらを投資に回す傾向があるので、5月は高値になりやすいという説です。

「セルインメイ」は本当?

眼鏡をかけた女性

ここ10年の月別S&P株価を見てみると確かに、5月は他の月に比べて、+であることが多いです。しかし2月も+である確率が高い。さらに、他の月も含めてここ10年で考えると、どの年月でも上昇している割合が高いのです。

ブルームバーグ

あんまり、信用できないかも「セルインメイ」。

でも今年に限っては、「セルインメイ」は投資家たちの注目を多く集めています。それはなぜか。現在株高で、NYダウも日経も上昇局面ですが、これから決算が発表されて、実体経済の悪さが浮き彫りになったり、コロナの第二波がくる可能性が高いことを考えると、秋から年末にかけて、二番底がくるのでは?と考えている投資家が多いためです。

今、高値圏にある銘柄は「セルインメイ」のアマノリーに従って利確しておき、キャッシュポジションを高めておいた方が良いのでは?と考えられているのです。

とはいえ、これから先どんなことが起こるのか。コロナの影響がどれほどなのか。予想はできても、未来を断言することは誰にもできません。

まとめ:セルインメイはジンクス程度に聞いておこう

「右足から出かけるといいことがある」「茶柱が立った」とかと同じく、「セルインメイ」もジンクス程度に聞いて、コロナの情勢や決算をしっかり注視して、自分の脳みそで考えた投資をすべきだなと改めて実感しました!

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