投資家なら知っておくべき”決算書”の要点まとめ

投資家なら知っておくべき”決算書”の要点まとめ

決算書とは

パソコンで作業する人

会社が利害関係者(ステークホルダー)に対して、会社の経営状況を説明するための書類です。

決算書はいわば、会社の成績表のようなものです。その会社に長期的に投資するべきかどうかが決算書を見れば見えてきます。また、投資対象の会社とライバル会社と比較して分析に生かすことができます。

決算書のポイント

女性の先生

日本の会計基準では4つのポイントがあります。それぞれ投資家なら見ておくべき。特に後述する、貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書は役割だけでも覚えておきましょう。

貸借対照表 B/S(balance sheet)

会社のある一定時点における

  • 資産(流動資産・固定資産):お金を何に使っているのか
  • 負債(流動負債・固定負債):返す必要があるお金
  • 純資産:返す必要がないお金

の状態を表します。貸借対照表では、会社が活動資金をどのように獲得して、どんな形で資産を持っているかが明確になります。

資産と負債のバランスに注目!

流動負債(1年以内に返さないといけない負債)が多く、キャッシュが少ないのは危険信号。

貸借対照表で企業の安全性を見る

自己資本と総資産の割合をみれば、企業が安全な経営状態稼働かを判断できます。

自己資本比率 = 自己資本(純資産) ➗ 総資産

自己資本比率の適正水準は、30%が目安です。10%を下回る場合は要注意。借金が返せなくなるリスクを秘めています。

損益計算書 P/L(profit and Loss Statement)

会社のある一定期間における

  • 収益
  • 費用

の状態を表します。会社がどのくらい儲けて、その儲けを生み出すためにどれくらいの費用を使用したのかがわかります。そして株主に残される”最終利益”が一体いくらなのかも明記されています。

3つの利益に注目!

・営業利益:本業からの儲け

・経常利益:日常的な経営活動による儲け

・当期純利益(=最終利益)

損益計算書で企業の収益性をみる

損益計算書では、営業利益がわかります。そこから売上高営業利益率を出して見ると、収益性を図ることができます。

売上高営業利益率 = 営業利益 ➗ 売上高

業種によって利益率の平均値は違います。一般的に、最終利益率は同じ業界で比較しないと意味がないと言われています。

利益率が高い業界は、参入障壁が高いもの。医薬品や通信系は利益率が高く、小売や卸売業は誰でも参入しやすいことから利益率が少なくなる傾向が高いです。

2018年の決算短信から収益性を測る売上高営業利益率を見てみると…

  • 全産業 6.7%
  • 製造業 7.0%
  • 非製造業 6.3%
  • 化学 9.5%
  • 医薬品 13.3%
  • 機械 9.1%
  • 情報通信 15.7%
  • 卸売業 1.8%
  • 小売業 4.3%

業種によって、大きく異なることがわかります。気になる企業の売上高営業利益率を計算して、同じ業界内での平均やライバル企業と比べてみて投資対象になるか検討しましょう。

キャッシュ・フロー計算書 C/S(cash flow statement)

会社の資金の収支を

  • 営業
  • 投資
  • 財務

の各活動に区分しています。会社にどのくらいの現金が出入りしたのかがわかります。

お金の流れに注目!

営業:原則としてプラスである必要性あり

投資:通常は設備投資によってマイナス

財務:資金調達をすればプラス、返済ならマイナス

キャッシュフロー計算書で企業の経営状態を見る

業務拡大型
営業:+
投資:ー
財務:+

営業収益が多く、本業できちんと儲かっている会社です。設備投資に積極的なので、投資が(ー)になっています。資金需要が高く、財務も(+)な成長企業だと読み取れます。

堅実経営型
営業:+
投資:ー
財務:ー

営業収入が多いので本業で儲かっていて、設備投資には積極的。しかし財務は(ー)なので、借り入れを返済しているフェーズです。堅実に経営しているタイプで、今の日本企業に多いです。

資産切売型
営業:ー
投資:+
財務:+

営業支出が多く、本業がうまくいってないケースが考えられます。資産を売却して資金を作っているため投資が(+)で、借り入れも行なっているため財務(+)。こういったキャッシュフローの会社は危ない経営状態の場合があるので、投資は控えたほうが無難。しかし買収対象になったり、思わぬヒットが出る可能性も…。

株主資本等変動計算書 S/S(statement of shareholders Equity)

会社の投資の成果を表す純利益とそれを生み出す株主資本との関係を表します。

まとめ:ポイントだけなら読み解くのは簡単!

決算書が投資判断の全てではありませんが、気になる企業をいつもと違う観点で考えたい時には役立つひとつの指標になります。どの企業に投資しようか迷った時には、上記のポイントで決算書を見てみてはいかがでしょうか。

▼特に高配当株は財務状況を注視する必要あり!

投資手法カテゴリの最新記事