人生100年時代。自分にとっての幸せは自分の脳で考えなければならない

人生100年時代。自分にとっての幸せは自分の脳で考えなければならない

10年前、私は浪費真っ只中でした。そこで出会ったファッションデザイナーの価値観は、今まさに共感しますが、当時は「何を言っているんだろう?」って思って聞いていました。時代を先ゆく人は、常に変人と周りから虐げられます。そして、いま、彼の言葉を思い出して、考えることは「自分にとっての幸せは自分の脳で考えなければならない」ということです。

自分の周りの人にだけ服を作りたいデザイナー

おしゃれな女性

2009年頃、私が出会ったひとりのデザイナーの話が今でも心に残っています。その話がなぜ、私の記憶に深く刻み込まれているのかは謎です。なぜなら私は当時、彼の話が全く理解できなかったからです。でも衝撃を受けたことを覚えています。

大切に服を作って大切な人に着て欲しい

ファッション雑誌の編集者だった頃、スタイリストやヘアメイク、カメラマンといった同世代の業界人が集まった飲み会で出会ったあるデザイナー。

私と彼は面識がなかったのですが、彼は私の隣に座り話しかけて着ました。

デザイナー「こんにちは!」

私「初めまして、ですよね?」

デザイナー「そうだね」

ニコニコしながら、酒がうまいという彼を不思議に思って見ていました。その理由は、5分後にわかります。私は偶然にもその日、彼がデザインしたワンピーツを身につけていたのです。鮮烈に真っ青なワンピースは、当時の私のお気に入りで週に1度はクリーニングに出して、大切に着ていました。

彼のブランドは、まだ有名ではありませんでした。東京の一部のセレクトショップにおいてありましたが、ネットショップで服を買うのがこれほど浸透していなかった当時、彼のブランドを手に入れるには、かなりの情熱が必要だったから。

だから彼は私がそのワンピースを着ているのを見て、本当に嬉しかったんだと思います。そして、語り始めました。彼の思う幸せについて。

デザイナー「僕は、自分の周りにいる人を幸せにしたい。だから本当は、もっと小さなコミュニティの中で、その人に似合う服を作るだけにしたいんだ」

なぜ、自分の周りの人だけに服を届けたいと思ったのか

女友達

彼のファッションに対する価値観は、当時の常識を覆していました。少なくても私の価値観は。その頃、ファストファッション全盛期で、Forever21が日本に上陸し、H&M、ユニクロと安くて大量生産大量消費の服が街にあふれていました。道端で同じ洋服を着ている子を見ることも多かった。また、ブランドも全盛期で同じモノグラム柄のブランドバッグに埋め尽くされていました。

そんな時代の中で、彼は小さなコミュニティで小さく仕事をすることが幸せだと語ったんです。その理由は…?

着ている人の顔が見たいから

服づくりが心底大好きだった彼は、着ている人が喜んでいる顔を見るのが大好きだったんです。だから私が彼のワンピースを着ているのを見つけて、本当に嬉しかったんだとか。自分が作ったものを誰かが身につけて、気に入って愛してくれている…それが彼にとっての幸せでした。

その人に合った服が作りたいから

彼は好きな人のためにその人に似合う服を作りたいと思っていました。大量生産の服は、たくさんの種類から自分に合うものが選べます。でもデザイナーとして、その人に合った服を作り出すことで、新しいクリエイティブが生まれると語っていました。ひと昔前までは、オーダーメイドが当たり前だったのだから、今だってできるはずとも。

そうすれば他の人とかぶらないから

ファストファッションの一番のデメリットは周りの人と同じものであること。ひとりひとりの個性を大事にして服装で表現するならば、その人に合わせたデザインであるべきです。

そんな服は大切にされるから

自分に似合ってその服に愛着が生まれれば、その服は長い間大切にされるでしょう。自分が作った服は、なるべく多く身につけて、なるべく長く愛されたい。デザイナーとして至極まっとうな感覚だと思います。

使い捨てされる服を作るのは空虚だから

ゴミ問題もしかり、ただ毎日使い捨てられる服を作ることほど空虚なことはないと彼は考えていました。

時代の先をゆく感覚

電話をする女性

小さなコミュニティの中で、彼は自分の手が届く範囲の人を自分の服で幸せにしたいと思っていました。そして、そのコミュニティの中で、料理が得意な人は料理を、アートが得意な人はアートを、歌が得意な人は歌を。自分が得意な分野のサービスを提供し合えばいいと考えていました。

当時は「お金はどうやって稼ぐんだろう?」と思っていました。それは思考が停止していたということに気がつきます。自分にとっての幸せは何か。それを実現させるためにどうしたらいいか。誰かの価値観や常識なんてどうでもいいんです。

彼は彼の脳でしっかりと考えていました。得意なことを提供し合えば、お金はほんの少しあればいいんです。今思うと、とても素晴らしいことだと思います。

資本主義では淘汰される

資本主義は収益を出してこそ正義。彼の思想では、収益を出すことはできません。自身のコミュニティをゼロから構築しなければなりません。そして、多少の現金収入を得る道を考えておかなければなりません。だって、税金やらなんやらを多少は払わなくてはならないから。

インターネットがその感覚を持つ人たちにパワーを与えた

現在では、インターネットの普及で彼の思想は実現できる世界になっています。

距離的な制約のクリア

10年前、インターネットでできることが限られていたので、彼の思想では小さな村を作ってそれを実行するしかありませんでした。でも今は住む場所は自分で選び、ネットで繋がったコミュニティの中で、得意分野をやりとりすることができます。TimeBankがそのいい例ですね。

金銭的な制約のクリア

距離的な制約をクリアできれば、それは日本に住んでいる必要がないことを意味します。生活コストの低い東南アジアで、彼は自分の周りの人のために服を作ることができます。日本の税金からも逃れられます。

少しの不労所得があれば、その現金収入だって必要ないかもしれません。1000万円あれば、投資で年間50万円を手に入れることだって難しくないからです。

また、日本円にこだわる必要もありません。仮想通貨でやりとりすれば、世界中の人とこの思想を共有できるのです。

今、私が思うこと

悩める女性

10年前、私はもっと稼ぎたい、もっと働きたいと思っていました。でも今は違います。

人生、会社のために働いて、そして死ぬのか。

それとも、自分の好きな人と、自分の好きなことをしながら生きるのか。

どちらも選ぶのは自分です。私はもっと早く気がつくべきだったけれど、今気がついてよかったと思います。私は圧倒的に後者の生き方がしたいと。

まとめ

幸せのカタチは人それぞれです。誰かにそれを押し付けることはできません。だから自分にとって何が幸せなのかを考えることが重要です。人生は長い。だって100年もあるんだもん。今35歳、あと65年あります。圧倒的に長い!その長い人生の中で、私は何を大切に生きていきたいのか。自分の脳みそでしっかり考ええて、自分にとっての幸せを掴んでいきたいと思います。

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