貧乏は遺伝する。貧困が連鎖する3つの理由と抜け出す方法

貧乏は遺伝する。貧困が連鎖する3つの理由と抜け出す方法

私の親友・ケイタ(仮)は、とても貧しい家庭で育ちました。私は彼のことが人間として大好きです。でもひとつだけ、どうしても受け入れられないことがありました。それは彼の両親です。彼の両親は典型的な貧しい人でした。彼曰く「父は怠け者で、母は世間知らず」。友人として彼と付き合う中で、私は家庭という閉ざされた空間は、人によってこれほど違いがあるのか…と驚愕したものです。今日は真面目に「貧乏」について考えてみたいと思います。

ケイタと私の30年

男の子と女の子

幼稚園時代

ケイタと出会ったのは幼稚園の頃です。物心つく前、男女の差もわからない中で、ケイタと仲良くなりました。彼は、運動音痴な私が跳び箱が飛べずに泣いていると、そっと跳び箱を一番低くして「これで飛べるよ!」と、笑ってくれる優しい男の子でした。

小学生時代

同じ小学校に入学しました。私は要領が良かったので、クラスで5番目くらいの成績でしたが、ケイタは下から5番目くらいでした。でも私たちはとても仲が良かったです。私は彼に勉強を教え、彼はそれを素直に聞きましたが、10回やっても20回やってもできないことがありました。そして、それは学年が上がるごとに分からないことが増えていきました。読めない漢字、できない計算、理解できない法則。小学校5年生になること、彼は私から逃げるようになります。勉強するのが嫌になったんです。代わりに彼は近所の男の子たちと遊ぶようになります。家庭環境が似ている子、ですね。

そしてこの頃、彼の両親は離婚しています。父親の事業は数年うまくいっていなかったそうですが、いよいよ倒産し、大きな借金を背負って父親が離婚届を置いて蒸発したのです。彼の母は世間知らずで、2人の子供を抱えて途方にくれました。

中学時代

中学校も同じでした。そこで彼は、髪を明るく染めて、コンビニにたむろするようになります。もちろん学校の勉強はエスケープして。一方私はおさげで、図書館に足繁く通う地味なポジション。学校での成績も学年で10番以内くらいでした。でも授業を聞いて宿題をするだけで、予習も復習も塾通いもしてませんでした。一方、ケイタは学年ビリをうろうろしていました。英語で0点を取った時、私に自慢しにきたことを今でも覚えています。私はどうしたら0点なんて取れるんだろう、授業を聞いてれば全部わかることなのに…と思った記憶があります。

高校時代

高校は別々でした。私は地元で2番目の進学校に合格しました。ケイタは、偏差値30台の最底辺の高校に入学しました。高校の制服で階級が分かれてしまった私たちは、道ですれ違っても目も合わさなくなってしまいました。多感な時期だったからかもしれないけれど、私はこの時期のことを心から後悔しています。

この時期、彼は高校に通いながら、深夜はクラブでバイトしていました。毎日。なぜなら彼の家にはお金がなかったんです。父は蒸発し、母のアルバイトだけで暮らしていたのです。それを少しでも助けようと毎日働き、そしてある日の深夜、バイクで帰宅中に車と衝突しました。疲労が限界で、意識が朦朧としてたと言っていました。この事故で、彼は脳の半分を損傷し、片目が見えなくなりました。

大学・社会人

18歳になり、私は地元の女子大に進学しました。ケイタは、就職しましたがすぐに辞めて、夜の店のボーイやデリヘルの送迎(私の元カレ健とのつながりで)を始めます。私は健と付き合い始めて、またケイタと親交を深めることになります。離れていた3年間で、彼の人生が転がり落ちていたことは明確でしたが、夜の世界はお金だけは稼げます。彼はブランド物を買いあさり、それを下品に身につけることをステイタスにしていました。イケメンだったケイタはモテましたが、彼女いつもキャバクラ嬢かヘルス嬢でした。そしてみんなメンヘラでした。お金を持っている彼の元に彼の父親はやってきて、毎月数万円を渡していました。多い時は100万円近く。彼の実家に遊びに行った時、最新のマッサージチェアと高級電子レンジ、パソコンは3台あり、ローンで買ったばかりのHONDAのバイクがありました。全てお父さんが彼からせしめたお金で浪費したものです。

現在

30歳で、ケイタは結婚しました。結婚を機に、堅気な仕事につきます。工場での単純作業です。10歳年下の嫁は自分と同じ貧しい家庭に生まれ育った女の子です。2人は休まず一生懸命に働きましたが、2人で月に20万円の稼ぎしかありませんでした。そして、その稼ぎから3万円ずつをそれぞれの両親に仕送りしていました。つまり、2人の自由にできるお金はたったの14万円です。

彼は今も貧乏にもがいています。月に1日だってゆっくり過ごせる日はありません。でもお金もありません。彼から電話がかかってきて、辛い現状を話しながら号泣しました。そして「もし俺が過労で死んだら死亡保険が嫁に入って少しは生活も楽になるかもしれない」と言いました。

涙を流す男性

その言葉を聞きながら、私は

貧乏は遺伝する

と思ったのです。


誤解のないように説明しますが

  • 彼は一生懸命に働いている
  • 彼は周りの人に親切で優しい
  • 彼は私にお金を貸してほしいとは言わなかった
  • 彼は貧乏であるために苦しめられている(貧しくても幸せな人はそれでOK)

という、客観的に見ると善良で一般的な労働者です。でも常にお金がないことに苦しめられています。そして20代、お金を貯めて貧困から脱出するチャンスがあったのに、不必要な浪費によってそのチャンスを逃しました。

私は高校の時、彼が事故を起こした時、彼を支えられなかったことをここ数年後悔してきました。高校生だった私がどうにかできる問題でなかったことはわかっていますが、「たかがお金のこと」で、命の危険にさらされ、片目を失ってしまった彼のことを心から残念に思っています。だから、死亡保険なんかのために命を捨ててしまうことはいかに馬鹿馬鹿しいか、理解してほしいと思いました。彼の力になるためには、彼のことを深く理解する必要があります。

貧乏は遺伝する。学術的にも証明済み

親子

貧困がもたらすストレスが人間の体に甚大な悪影響を及ぼすことは、科学的に証明されています。

貧困がもたらすストレスは、一生涯その人の思考や行動、そして決断について影響を及ぼします。長期的に見てどう行動すべきか、ということよりも今の不安を解消することに集中し、最良な未来の選択ができなくなるのです。

貧乏が遺伝する理由

①貧乏になる思考と行動を受け継ぐから

これは上記の研究でも明らかです。さらに幼少期に一緒に過ごした親からの影響は計り知れません。貧乏になる行動をしている親の行動を無意識的に真似するだけで、子供も貧乏になる道に突き進んでしまうのです。例えばタバコ。タバコを購入するお金と将来の健康リスクを考えると、お金持ちなら選ばない嗜好品ですが、貧困であればあるほど喫煙率は高まります。

②十分な教育を受けられないから

教育に関しては2つの原因があります。まず親が十分な教育を受けていないので、子供にその重要性を教えられないこと。そしてもしその重要性がわかっていても、金銭的にフォローしてあげられないことです。大学に行くには公立でも年間100万円ほどかかると言われています。1ヶ月8.3万円。もちろん子供が生まれた時から貯金していればいいのですが、生まれた月から毎月2万円を欠かさず貯金する必要があります。貧困家庭ではかなり難しいでしょう。現にケイタの家庭では彼が「大学に進学する」という発想自体なかったので、18歳時点で彼名義の貯金はゼロでした。なんなら彼は家族の生活費のために働いていました。

③資本主義は金持ちに有利だから

2013年にトマ・ピケティが刊行した「21世紀の資本」は金持ちがより金持ちになっていく資本主義経済の真実を私たちに教えてくれました。

長期的に見れば経済成長率(g)よりも資本から得られる富の割有…資本収益率(r)が大きく、従って経済格差はどんどん広がっていく

『21世紀の資本』トマ・ピケティ・著

資本が資本を生むスピードは、労働が生み出す金銭よりも早く成長するのです。つまり「金持ちはより金持ちになり、相対的に貧乏人はより貧乏になる」のが今の資本主義です。ケイタの場合もこれが当てはまります。彼は365日10時間以上働いていますが、生活費にお金を使うだけで精一杯で、投資をする余力はありません。そのためにずっと働き続けてもずっと貧乏で、投資をしている人がお金を増やしていることによって相対的により貧乏になっているのです。

貧乏から抜け出すことはできるのか?

行動や習慣を変えることは容易ではありません。私は幾度となくケイタにたくさんの忠告とアドバイスとちょっとだけの説教をしてきました。その瞬間は納得しても、彼の行動が変わることはありませんでした。小学生の頃、彼は私の勉強会から逃げたのと同じように今も自分ができないことをできるようにする、ということが苦手です。

ただ、今の状況を変えたいなら、貧乏な両親から引き継いだ今の習慣や思考や行動を変える必要があります。

私はごく一般的な団塊世代の中流家庭で育ちました。私の家庭と彼の家庭での考え方や行動の差を抜き出してみると…

【中流家庭と品行貧困の行動の違い】


私の両親は私にお金を借りない

彼の両親は彼にお金を借りる

 

私の両親は借金しない

彼の両親は借金をするし返済もできない

 

私の両親は通帳を作って貯金することを教えた

彼の両親はお金を使う方法を教えた

 

私の両親はタバコを吸わない

彼の両親はタバコを吸う

 

私の両親は私のためにお金と資産を残してくれる

彼の両親は彼に負債を残す


 

ここまで書いていてひとつ気が付いたのは、自分を育ててくれた親や環境を否定することはとても苦しいということです。でもそうしないと、彼はきっと一生貧乏だし、昨日の言葉が本当なら、このまま過労で死んで嫁に保険金が渡るのが一番幸せ…と思うようになります。

赤ちゃん

私が悲しい時、彼は何時間でも話を聞いてくれ励ましてくれます。

どんなに私がひどい人間でも彼は私の味方になってくれます。

私が悪いことをすると、本気で叱ってくれます。

私は彼が人間として大好きです。

だから幸せになってほしいと思うんです。

まとめ

私が彼にできることは

  • 貧乏思考であることを教える
  • 新しい考え方を教える
  • お金の稼ぎ方を教える

これだけです。多くはありません。でも彼が行動すれば幸せになるチャンスがある。そして、行動しない人は変わらないから、もし私が彼が一瞬楽になるだけのお金をあげても無意味だと思っています。

※ケイタには仮名を使うことを条件に、ブログにこの記事を書くことを了承してもらっています。

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