2019年12月5日(木)、新丸ビルで行われたSMBC主催のJT個人投資家向け会社説明会に当選したので、参加したことは、先日の記事でもご報告させていただきました。前回は全体の流れをリポートしましたが、今回は会社説明会の内容と私が感じたことをまとめました。
▼JTの投資家向けIR説明会に行ってみた
JTの経営理念と3つの特徴

日本たばこ産業株式会社(JAPAN TOBACCO INC)の略称JT。1985年4月1日に設立され、日本専売公社のタバコ事業の事業を引き継いでいます。全株式のうち3分の1以上の株式は日本国政府(財務省)が保有しなくてはならないと決められている国内で唯一、たばこの製造を行なう会社です。
そんなJTの会社説明会で聞いた事業について、まとめたいと思います。
<経営理念>
お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者に他する満足度を高めていく。

グローバル企業
世界130以上の国と地域でタバコ製品を販売するJT。現在、China National Tabaccoを除外して世界第3位のポジションに位置しています。
主要とするタバコ産業以外にも、医薬品事業、加工食品事業も展開中。
事業別売り上げの比率は海外タバコが6割
2018年度の売上収益は2兆2160億円。そのうち、国内タバコが28%、海外タバコが59%を占めています。

営業利益で見てみると、5955億円。国内タバコ33%、海外タバコ61%となります。

意外だったのは、海外タバコの売り上げがすでに国内の倍もあることでした。海外に展開しているとは認識していたのですが、こんなにも海外での売り上げ比率が高まっているとは知りませんでした。勉強不足だった!!
海外タバコ市場規模ランキング
ここで気になるのは、どの国でシェアを取っているのかということ。世界でのタバコ市場規模ランキングとJTグループのシェアを見てみましょう。
順位 | 主要市場 | 進出 | 市場順位 |
1 | 中国 | – | – |
2 | アメリカ | ● | – |
3 | ドイツ | ● | No.4 |
4 | ロシア | ● | No.1 |
5 | 日本 | ● | No.1 |
6 | インドネシア | ● | – |
7 | イギリス | ● | No.1 |
8 | イタリア | ● | No.2 |
9 | フランス | ● | No.2 |
10 | トルコ | ● | No.2 |
※タバコ市場規模ランキング(売り上げベース)
世界のTOP10市場規模の中で、広くシェアを取っていることがわかります。
1位の中国は専売制のため、参入不可能。
2位のアメリカは2015年にLogic社を買収していますが、あまり上手くいっていないようです。
3位のロシアは、2018年にドンスコイ・タバック社を買収してシェアNo.1になっています。
6位のインドネシアは、2017年にくれテックタバコ者を買収し、統合計画を遂行中だとか。
また、フィリピン、エチオピア、バングラディッシュなど新興市場にもしっかりシェアを広げているようです。
先進国では、今後が心配されているタバコ産業ですが、新興国では今後も拡大が期待できる市場だと思いますので、追加投資したくなりました。
高配当企業
中長期の利益成長に応じた株主還元向上を図るJT。経営理念に基づいて
- 中長期にわたる持続的な利益成長につながる事業投資を最優先
- 事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視
上記の2点を方針に掲げ、中長期の利益成長に応じた株主還元を行なっています。「中長期の利益成長」という点がポイントだなと思っていて、短期的に事業売却で得た利益や、短期的な利益減少によって減配増配をするのではないということ。
年平均利益成長率目標(3カ年)
一桁台半ばから後半(5-9%)
※為替一定ベース調整後営業利益ベース
これまでの実績を見てみると…

※2019年度は予想値
綺麗な右肩上がりで配当金の金額が上がっていることがわかります。増配率は下がってきていますが、2019年度も3%の増配を見込んでいます。
ここまで配当金が高まっていると、気になるのは配当性向。今後の増配は期待できるのでしょうか。

青がJTの配当性向の推移です。2018年で約70%。日経平均に比べて、かなり高い数値になっています。逆に考えると、その分株主に対する利益還元を重視しているとも読み取れます。
強固な財務基盤
為替一定ベースで見てみると、JTの営業利益は伸長しています。
2017年度 | 2018年度 | 増減率 | |
調整後営業利益 | 5853億円 | 6372億円 | +8.9% |
海外での売り上げシェアが高まっているので、為替変動の影響を受けやすいのも考慮すべきですが、売り上げとしては伸びているので、財務基盤はしばらく安泰なのではないでしょうか。
JTが将来的に抱えるリスク

会社説明を聞いていると「なぜここまで売られまくっているのか」と不安になりますが、もちろんそこにも理由があります。
- 喫煙に関する健康上の懸念増大
- タバコに関する国内外の法令規則による規制等の導入や変更
- 国内外の訴訟動向
- 国内タバコ産業、海外タバコ産業以外への多角化能力
- 国際的な事業拡大と日本国外への投資を成功させる能力
- 地上にお帰る他者との競争激化
- 消費者の嗜好・ニーズの変化、需要の減少
- 買収やビジネスの多角化に伴う影響
- 国内外の経済状況
- 為替変動および原材料費の変動
- 自然災害および不測の事態
こんなにたくさんの懸念があるんですね。
そして、最近目立っているのが
- 国内外の訴訟動向
- 消費者の嗜好・ニーズの変化、需要の減少
ではないでしょうか。アメリカではジュール・ラブズの電子タバコが訴訟に見舞われ、さらに電子タバコは健康上の理由から販売停止に追い込まれています。
また、日本では特に若い世代のタバコ離れが進んでいて、今後販売が落ち込む可能性が高まっています。
さらに海外投資家はESGを重視する流れにあり、たばこ産業は稼げるけれども持続可能な事業でないと、敬遠されています。

タバコ産業を取り巻く状況は、決して明るいというわけではありません。
▼ESG投資とは
まとめ:今はいい。でも将来は…
今、現状では
- 高配当
- 新興国で成長
という、良い側面が目立ちますが、ESG投資の観点から見ても、今後伸長していくことは考えにくいのがタバコ産業です。私自身も1単元保有していて、今回の会社説明会を聞いて買い増したくなりました。ポートフォリオの中で適切なバランスを保ち、タバコ株に偏りすぎた投資はやめようと思いつつ…
やはり高配当なのが魅力でついつい欲しくなってしまう!
JTは株にも依存性があるのか!!!と自分をみつめ直す今日この頃です。
▼JTの裏優待、もらいました!