ジム・ロジャーズが過去の金融危機から学んだ3つのこと。”終わりの始まり”の時代が始まった

ジム・ロジャーズが過去の金融危機から学んだ3つのこと。”終わりの始まり”の時代が始まった

2020年5月1日に、電子先行で配信スタートしたジム・ロジャーズ氏の新著『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』を読了しました。ジム・ロジャーズ氏のコロナに対する考えや過去の金融危機、そしてそこから学んだことをまとめました。本書には危機の乗り越え方、そしてお金持ちになるために大事なことも書かれておりますので興味のある人は、ぜひ読んでみてください。ジム・ロジャーズの著書を未読の方は必見です。

ジム・ロジャーズの警告

ジム・ロジャーズ
日経

ジム・ロジャース氏は、ウォーレン・バフェット氏と並び著名なアメリカの投資家です。伝説的な成功を収めた米投資会社クォンタム・ファンドをジョージ・ソロス氏とともに設立。約10年で4200%のリターンを叩き出しました。ちなみに同時期のダウ平均上昇率は20%というから、そのリターンの高さには驚かされます。彼の資産総額は3億4000万ドルを越えると言われてます。

▼ジム・ロジャーズ氏の日本への警告

そんなジム・ロジャーズの新著が2020年5月1日に電子先行配信されました。市場に対するジム・ロジャーズの最新のコメントが読めるので、ぜひチェックしてみてください。

過去の経済危機では何が起こったのか

叫ぶ女性

1942年生まれ、77歳のジム・ロジャーズ氏。様々な経済危機を経験&予測して来た彼は、過去に起こった経済危機を本書で振り返っています。

1929年:世界恐慌で米国の株価は90%下落

1929年、世界恐慌は9月4日頃のアメリカの株価の大暴落から始まりました。貿易戦争が追い討ちをかけて、アメリカから飛び火した危機はあっという間に世界中に広がり、1931年にはボリビアが債務不履行、他の南米の国々も相次いで破綻するという異常事態が起きます。こうした流れの中、結果的にアメリカの株価は90%暴落したのです。

その後、アメリカ政府はありとあらゆる手を尽くしました。政府がお金を使い始めて、株価は一時上昇したのもつかの間、1937年に再び暴落し50%下落し、世界中が大混乱に陥ったのです。

しかし振り返ってみると、1920年代の世界恐慌直前は不動産価格も株価も表彰して、人々は楽観ムードの最中にありました。

1971年:ニクソン・ショックでドル売り殺到

両替

当時の大統領だったニクソンが、米ドルと金の交換を一時停止することを発表すると、ドル売りが殺到し、アメリカドルの価値が暴落していきます。ニクソンショック以前、金と交換できるのは唯一アメリカドルだけでした。だからドルは世界の基軸通貨として信頼を築いていけたのです。同時に10%の輸入課徴金の導入を発表。米国輸出に頼って来た日本は、ニクソン・ショックで日経平均はたったの1週間で25%も下落してしまいます。

その後アメリカ株式市場はしばらく上昇、日本は下落しました。しかし、1973年にオイルショックが追い打ちになり、長期的な不況に突入します。

1987年:ブラックマンデーで株価は22%下落

涙を流す瞳

ジム・ロジャーズは、ブラックマンデーを予想していたと言います。「平均株価が300ドルも急落するような悲劇が起きるだろう」と。そして、実際1987年10月19日にブラックマンデーが起こり、ダウ工業株30種平均は1日で508ドルも下落したのです。

それは下落率22.6%という歴史的な下落でした。

ジム・ロジャーズがブラックマンデーを予想できたのは、市場が完璧かつ巨大なバブルだったからです。それ以前に彼は、学んでいて、このバブルがいつか弾けてしまうことを知っていたのです。

2008年:リーマンショックの予兆は金融危機

号泣するサラリーマン

リーマンショックの前、アイスランドやアイルランドで金融危機が起きていました。でも、世界の大多数の人はそれを気にも止めていませんでしたが、今振り返ると大きな危機が起きる予兆だったとジム・ロジャースは語ります。

そして、ジム・ロジャーズは、コロナショックはリーマンショックよりもはるかに危機インパクトが大きくなるだろうと予想しています。

破綻のトリガーの一つになることが懸念されているのはドイツ銀行だ。すでに危機に直面しており、信用不安が高まっている。かつてのリーマンショックが象徴するように、1つの金融機関の破綻が引き金になって、世界中の人々の生活が激変することが本当にある。

危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来

ドイツ銀行のデフォルトは数年前から危惧されており、3月11日にロイターが「4月末に償還可能になる総額12.5億ドルの(偶発転換社債の1種である)AT1債の返済オプションを行使しない方針」という報道がされて、破綻トリガーとして危うい存在になっています。

ジム・ロジャーズ氏が過去から学んだ3つのこと

本を読む子ども

1968年にウォール街で働き始めたジム・ロジャーズは、多くの経済危機を乗り越えてきました。そんな彼が金融危機から学んだ3つのことを引用します。

市場は非常に不合理である

ウォール街

市場は時々狂ったように振る舞うということだ。そしてそうなることを、誰もが知っていたわけではないことも学んだ。市場は非常に不合理であり、人々の心理と行動によって大きく変化する可能性がある。

危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来

合理的に動いていると思われる金融市場ですが、ときに非合理的な理由で不安定になります。今回のコロナショックでも、株価は乱高下し、なんどもサーキットブレーカー(株価の急変動による一時売買停止)を発動する異例の事態。まさにパニック相場でした。

ここで大事なことは、冷静に本当に価値ある企業に投資すること。価値ある企業を投げ売りされた株価で購入すれば、数年後、必ず金持ちの仲間入りができるとジム・ロジャーズもウォーレン・バフェットも言います。

▼リーマンショックでウォーレン・バフェットがしていたこと

危機の時こそ辛抱強さが問われる

這いつくばる女性

危機の時こそ、辛抱強さが問われる。ぜひ覚えておいてほしい。最も重要な言葉は「忍耐」だと。

危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来

危機の時、私たちに必要なのは「忍耐」です。そう、待つこと。

株価が下がりきるのを待つこと。そして、本当に価値ある企業の株価が上がるまで待つこと。辛抱強く、待ち続けることこそ、投資で勝ち続けるたったひとつの大事なことなのです。

成功している人は決して諦めない

海にいる女性

世界には、成功していない人がたくさんいる一方で、成功している人は決して諦めない人だ。

危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来

ジム・ロジャーズがいくつもの危機を乗り越えて来た中で、危機が起こるたびに違う道を歩み始める投資家も少なくなかったと言います。ある仲間は、投資ジャーナリストへ。それでもジム・ロジャーズは投資の道を諦めなかった。だから生き残れて成功できたのだと語ります。

どんな金融危機で株価がそこを這いつくばっても、諦めず、自分の信じた行動をすることで、いつか必ず報われる…。会社員投資家も勇気付けられる言葉です。

私も信じて頑張ります!!!!

まとめ:過去の危機から、未来を乗り越えよう

休暇中に読んだジム・ロジャーズの本から私が学んだことは、過去の危機と全く同じではないけれど、学べることはたくさんあるということです。そして、そんな荒波を乗り越えた偉大なる投資家ジム・ロジャーズ氏が学んだことも参考にしながら、今後の投資方針に生かしていきたいと思います。

ほかにも、

  • 危機の乗り越え方
  • お金持ちになるために大事なこと

なども書かれていて、217ページのボリューム。ジム・ロジャーズは、結構コロコロ投資方針を変えたり、発言が変わるな〜という印象ですが、紛れもなくこれまでの資本主義を乗りこなして来た偉大な投資家。ある投資家の一意見として、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。おすすめします。

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